解離性同一性障害(多重人格障害)

解離性同一性障害の損益

解離のメリットとしては以下が考えられます。

  • 苦しい自我(部分的)を、切り離すことにより一過性の内的安定を図ること。
  • 自我同一性の極端な破壊を、自我同一性の拡散、不安定化によって一過性に防御すること。
  • 外界に対して脆弱な統一的自我を拡散、攻撃的自我或いは自己主張的自我を出現させ、外交的(周囲に向かっての)防衛機制を行い、内向的(自分の中だけの)防衛機制で破綻した自己を保全すること。
  • 外界に対して脆弱な統一的自我を拡散し、退行(未熟で幼稚)的自我を出現させることにより、周囲の理解を得て内向(自分の中だけの)的防機制で破綻した自己を保全すること。

解離のデメリットとしては以下のものが考えられます。

  • 自我を拡散させるために統一的自我を失い、当然、自我同一性が失われること。
  • 外界のストレスに対して客観的、理性的、状況適合的判断に基づいて行動を起こすことが困難となること。
  • 人格間の調和を図る為には余分な精神的エネルギー、時間を費やすこと。
  • 記憶の障害や状況適合的行動が困難になったり、時間がかかるため、当然に社会適応が困難となること。
  • 解離することで社会的不適応を起こしたり、人前で解離することが自己評価を低下させ更に社会から逃避的となること。
  • 解離が頻回に起こり自己評価の低下、社会的不適応が顕著になると、解離自体が大きなストレス要因となり、自我脆弱性は更に進行。病的防衛機制である解離を増々使用することになるという悪循環に陥ること。


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